恋人はトップアイドル
『先日週刊誌に載ってましたよね?結城さんのお相手でしょ?』

『詳しく話聞かせてくださいよー。』

『優美・・、大丈夫?』

『退学も、考えてもらわねばならん。』

『俺がお前を守る。だから・・ぜってえ離れるな。』

『優美、アメリカへ行きましょう。』

『輝・・、私、もう無理だよ・・・。』


頭の中に、次々と映像が流れ込んでくる。

忘れたい。けれど、忘れることのできない、つらい記憶。

それでも覚えていたいのは、あなたを裏切った自分への、戒めなのかもしれない。


「あっ、Rだ!これ新曲!超かっこよくない!?」


後ろにいた女子高生が、ふいに叫んだ。ドキッとして、反射的に液晶テレビを見上げた。

知っている顔ぶれが、テレビの中でかっこよく、美しく、踊っている。

あの頃よりも、どこかしら大人びた表情だ。

「やばい、やばい輝!超かっこいい!」


テレビいっぱいに映し出された輝のクールでセクシーな表情。

輝------。


ちゃんと、そこにいるんだね・・・。


目が熱くなる。輝の姿が眩しい。

ひたすらに後ろ姿を追いかけたあの頃を思い出した。

今はもう、後ろ姿さえ見れない。


声を上げたい。輝が気付くように。


私は、ここにいるよ。


そう、叫びたい。


「今度のコンサートめっちゃ楽しみ!」

「ね!ステージ、過去最大規模なんでしょ?超やばいよね!」

「ああもう、早く会いたいよー!」

後ろの女子高生の二人組は、どうやらRのファンらしい。
その熱狂ぶりが、少し可愛らしく思えて、私は思わず微笑んだ。


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