恋人はトップアイドル
でもそれはあたしだけじゃなく、どのスタッフたちもが最優先している事項。

このステージに経つ彼らを、スタッフいわば裏方が、邪魔してはいけない。

それが暗黙のルール。


知れば知るほど、すごい世界だなぁとおもう。


あたしは一息つくと、ポケットに入れていた携帯を開いた。
電源を入れる。

今日は昼過ぎからリハーサルをしていたけど、ぶっ通しでやったから、だいぶ時間が経っているかもしれない。


でもその分、早く帰れるはずだ。


携帯の待受画面がうつった。
すると、着信が何件も入っている。


「・・健人?」

健人からだ。10件以上入ってる。
留守電にメッセージが入っていた。あたしはボタンを押して、携帯を耳に当てる。


どうしたんだろう?


すると、メッセージが流れ出した。

健人の切迫詰まった声。内容がわかると同時に、あたしも焦り出した。


まずい・・!!


すぐ、学校に行かなくちゃ。ああでも、どうしよう、まだ終わってないし、今はここから動けない。
だけど、これは早く対処しないと。

明日で学校自体、春休みに入り、閉じてしまう。そうなったら、もう先生たちともコンタクトが取れない。


とりあえず、トイレに行くフリをして外に出た。健人にいったん電話しなくちゃ。


トイレまで走りながら、携帯の履歴から発信ボタンを押す。ワンコールで健人は出た。

「もしもし?ごめん!今仕事してて・・。」

「ああ、わかってた。」

「健人、今どこ?」

「学校にいる。」

「あ、そっか、だよね。ええ、と、もしかしてパソコン室いるの?」

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