恋人はトップアイドル
「とりあえず、何か大変なんだろ?行くぞ。」

「えっ、ちょっ・・!」

輝はあたしの手首をまた掴んで、勢いよく走り出した。

輝の足はさすがに速くて、ついていくのが精一杯。あたしは遅れないように、必死で足を動かした。

階段を勢いよく降りて、輝は非常口のようなドアをバンと開けた。するとその先には、駐車場があった。

地下だから、ひんやりとした空気が流れこんでくる。

輝は手を離して、スタスタと歩いていく。あたしは急いで後を追った。
輝に掴まれてた手首が、少しだけ暑い。

「乗って。」

とある高級車の前に輝は立つと、サラッとそう言った。

え・・・?

「の、乗るの?」

「お前の耳大丈夫かよ?」

あたしが返した言葉に、輝は呆れたような顔を見せた。

「え、ちょ、ちょっと待って!これ、誰の・・」
「俺のに決まってんだろ。」


若干わかってはいたけど、輝の返事にあたしはぶっ飛びそうになった。

えええええーー!?

こ、こここんな高級車に乗ってんの!?

芸能人って・・すごい・・・。

てゆうか!あたし輝の車に乗るの!?
乗っていいの!?

そう思ったら、物凄く緊張してきた。

「早く乗れよ!学校、行くんだろ!?」

いつまで経っても動かないあたしに、輝はイラッとした様子でそう言った。

そ、そうだ!あたし、学校に行かなくちゃいけないんだ・・!

「お、お、お邪魔します・・。」

「お前、家じゃねーんだからよ。」

輝のそんなツッコミを受けながら、あたしは輝の車へと乗り込んだ。


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