恋人はトップアイドル

優美の正体 SIDE 輝

何で一人の女のために、俺がここまでしてやってんのかわかんねえ。

でも、リハが終わった後、携帯を耳に当てて血相変えてステージを出てった優美を見たら、俺の足は勝手にあいつを追いかけてた。

心配になった。どうしようもなく。

話の流れを聞いてる限りじゃ、なにが起こってんだかよくわかんなかったが、とりあえず学校に行かなきゃならないってのだけはわかった。

リハはとりあえず一段落ついていたし、俺も今日に限っては他の仕事が何も入っていないのが幸いだった。

優美に、俺が知っていることを告げると、相当驚いた顔をしてたけど、多分優美の嘘は、俺しか知らねえはずだ。

てか俺自身、優美が高校生、という以外、何も知らない。

こいつが実は何歳なのか、どこの学校に通ってんのか、そんな嘘をついてまで何で応募してきたのか。

そんな素朴な疑問が、俺を腹立たせた。


だから、知りたくなった。
優美の嘘を、何故か守り通してやりたくなった。

この変な感情を、どう呼んだらいいかわかんねえけど、でも優美の手首を掴んだ時、何故か今までにない気持ちになった。


それだけが、今俺にわかる事実だ。




そして今俺は、あるでっかい家の前にいた。

学校に行く前に、優美の家に寄ることになったからだ。
どうも、優美の高校は制服じゃないと入れないらしい。

優美の荷物は、もうとっくのとうに俺の車に運んであった。

「な、なんで！？」と優美は聞いてきたけど・・、まぁそこらへんは秘密だ。


てかそれよりも。


「でけえな・・。」

俺は車の中から、優美が入って行った家を見て呟いた。


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