恋人はトップアイドル
「合格。お前のやる気、ちゃんと伝わったからな。」

俺はそう言って、優美の頭をポンと叩いた。

「これからもよろしく。」

続けてそう言うと、

「・・うん、ありがとう!」

満面の笑顔で、そんな言葉が返ってきた。

不覚にも、ドキッとする。

・・やっぱり、俺、なんか変かも。


「着いたぜ。」

そんな感情を振り払って、俺は校門の近くで車を止めた。

初めてこんな近くで見た、国内有数の進学校。さすがに建物も綺麗だし、大学並みに敷地も広い。設備も凄そうだな。

「わ、ありがとう。」

「お前、本当に頭いいんだな・・。」

「?頭よくないよ?」

「自覚ナシかよ・・。」

優美のきょとんとした顔に、俺は苦笑した。
嫌味ったらしくないその返事は、こいつが本当に素直だってことを感じさせる。


すると、校門の前に、一人の男子生徒が出てきた。

適度に長い髪をうまく散らして、制服もいい感じに着崩している。なかなかのイケメンだということは、遠目からもわかった。

「あ、健人だ!」


すると優美が隣でそう声を上げた。

・・は?アイツが?

「ごめん輝、あたし行くね!今日は本当に本当にありがとう!また明日ね!」

俺が何か言う暇もなく、優美はあたふたと車を出て行った。そしてあのイケメンの元へ駆け寄っていく。

そいつは優美に気づくと、ホッとしたように笑った。

その顔も、多分一般人が見たら惚れること間違いナシだろう。


健人、イケメンじゃねーか・・・。


優美と並んだ姿が、何だかすごくお似合いに見えた。
それが無性に俺を苛つかせる。

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