恋人はトップアイドル
そうだ、やるしかない。

「・・でも輝、楽しそうだね。」

「は?」

優美の唐突な言葉に驚いた。

「なんか、ワクワクしてるって感じ。輝って無表情だけど、ずっと見てきたから、なんかわかるんだよね。今は楽しいんだなとか、今はイライラしてるんだなとか。」

それは、何だか、今の俺にとってはすごく、嬉しいことだった。
優美以外にこんなこと言われても全然嬉しくねえけど、優美がきちんと俺を見てくれてるってゆうだけで、勇気が湧いてくる。


そんなことを考える自分が気恥ずかしくなって、口元を手でおおった。


「あ、ごめん、変なこと言って。」

優美は勘違いしたのか、困ったように俯いた。

「変じゃねえよ。」

「え?」

「・・別に、怒ってるわけじゃねえから。」

だから、誤解すんな。

「・・うん。」

それが伝わったのか、優美は笑ってうなずいた。


「あ、そういえば・・この間会った・・ケイ、さん?あたし、失礼なことしたかな・・。怒ってなかった?」

優美は怖ず怖ずとそう聞いてきた。

「いや、別に。てか、あいつはあんなことで怒ったりしねーから。でもお前、マジでケイ知らねーの?」

俺は優美が立っている近くの椅子に腰掛けて、答えた。

「うん。あたし元々芸能人とか興味なくて。テレビとか雑誌も、輝とかRが出てるヤツ以外見ないんだ。芸能人とか、輝以外興味ないんだよね。」


優美が当然のように言い放った言葉に、俺は一瞬、頭がフリーズするような感覚を覚えた。


今こいつ・・・俺、以外、興味ない・・とか言ったよな?


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