恋人はトップアイドル
最初から飛ばしたロック調の2曲を終えて、輝があたし達がスタンバイしている所へ降りてきた。
あたしと堂本さんが一斉に動き出す。

輝は降り立ったかとおもうとすぐにジャケットを脱ぎはじめた。

服を手に持ったまま、片方の手で輝の汗を拭う。堂本さんが水を渡した。輝がそれを飲み干す。

タンクトップも脱いで、急いで身体の汗を素早く拭う。

ドキドキするかと思ったけど、焦っているせいか変な気持ちにはならない。

輝があたしの手から次の衣装を取り、素早く着て行く。その速さはギネス級じゃないかとおもうほど。

衣装を着終わると、ヘアメイクの女性がサッと、汗で時化った輝の髪の毛を直した。

次に輝が出るポイントまで、みんなで走り出す。もうスタッフも輝も、かなりの量の汗をかいていた。


何も喋らない異様な空気と緊張感の中、ただ無事に、最高のステージが終わることを祈る。


みんな必死だ。やるしかないんだ。


次のポイントについた。

「あと10秒です。」

もっと時間が経っているように思ったけれど、たったの20秒しか経っていなかった。

あたしの報告に、輝が頷く。

「堂本、水くれ。」

「ああ。」

堂本さんが渡した水を一気に飲み干す。

「スタンバイです!」

演出スタッフが輝に声をかけた。
ステージへ上がる階段をギリギリまで輝が上る。

「お願いします!」

スタッフの掛け声と同時に、輝がステージへ駆け上がっていった。

次の曲が始まる。

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