恋人はトップアイドル
「今までやってきたこと全力で出すぞ!」

「おー!!!」

「気抜くな、最後まで走り抜く!!」

「おー!!!」

「・・今日からだ。今日から、新しいR始めるぞ!!!」

「おー!!!」

「最高のもん見せてやろうぜ!よっしゃ行くぞ!!!」

「おー!!!」

輝の声がどんどん大きくなるにつれて、スタッフの声も大きくなる。その連鎖に、絆に、なんだかもう、泣きそうになった。
あたしも必死で声をあげた。

最後にみんなで足を鳴らして、円陣は解かれた。


「優美ちゃん!」

「はい!」

堂本さんに呼ばれる。あたしは駆け出す。

「優美!」

輝の声に、駆けながら振り向いた。輝が頷いたのが見えた。あたしも頷く。


始まる--------!!!!







音楽が響き始めたのがわかった。最初の1音、その瞬間、怒号のような地響きとともに、ファンたちの喜びの悲鳴が上がった。

「きゃああああーー!!!!!」

集客人数は、5万人。5万人の歓声なんて、なかなか聞けるものじゃない。

音楽の鼓動。ファンたちの悲鳴。会場の地響き。

全てが耳を塞ぎたくなるほどだったけれど、何をするかで必死なあたしは、それさえ興奮剤になった。


あたしもよく知る音楽が流れているのがわかる。
次に輝がはけてくる場所へ、次の衣装を持って移動した。

ステージ下の通路は狭く、必要以上の明かりがなくて薄暗い。上からの熱気がもろに来るから、もう汗が身体中を滴り落ちていた。


でも気持ちがいい。

どんどんヒートアップしていく客席。それに合わせて、どんどん楽しそうになっていくRたち。

それを通路に少し空いた隙間から見上げながら、何ともいえない気持ちになった。



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