[短編]アスタラビスタ
左腕の骨折、左足の骨折、
全身打撲、無数の傷、
頭は十針ほど縫ったと言う。


命は助かったけど、包帯姿の涼はすごく痛々しい。



「ハル…大丈夫か…?」



涼の指が私の頬に伝う涙を拭った。



「大丈夫?って涼の方でしょ!涼…私、東京に行かないことにした!」


「何言ってんだよ…」


「涼を置いて行けないよ!こんな…こんなひどい状態なのに…」


「ハル、ダメだよ。和也やハルのお父さんはハルがいないと寂しがるだろう?」



涼はまだ少し苦しそうに、それでも強く私を説得しようとする。


昨日帰ってから、眠れずにずっと考えていたこと…

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