雪がとけたら
「…頑張りすぎだよ」
僕はそっとあいつの髪をすくった。
さらっと僕の掌から落ちていくあいつの髪。
同時にあいつの瞼が、ゆっくりと持ち上がった。
「あ…」
…起こしちゃったな。
あいつの瞳はしばらく宙をさまよっていたが、僕をとらえるとゆっくりと覚醒していく様に色を取り戻していく。
「…ごめん、起こしたな」
僕はあいつの髪を再び撫でた。
あいつはその手に自分の手を重ねる。
ゆっくりと、あいつの瞳が揺れだした。
「悟子…?」
力なく僕の掌を握りしめながら、あいつの頬には涙が伝っていった。
「雪ちゃん…」
あいつは今にも消えそうな声で呟く。
「…やっと会えた…」
…くっと胸が、締め付けられた。
僕はあいつの手を握り返し、優しく呟く。
「…会いたかった」
会いたかった。
会いたかった。
ずっと、会いたかったんだ。
電話なんかじゃ全然足りない。
会って触れあえなければ意味がない。
会いたくて会いたくて、お互い限界だったことに、今気付く。
…やっと会えた。