スイッチ
もうこれ以上、聞いている事は出来なかった。 思いきりテーブルの足を蹴り、皿が床に落ちた。 すると妻が、とりなす様に私に口を開いた。 「お父さん、早く帰ってくるならくるで、連絡くらいして下さい。準備だってありますから。あと、小包が届いていましたから、受け取っておきましたよ」 それでも「お疲れ様」という言葉は最後まで聞けなかった。
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