スイッチ
母が夜中に家の鍵を開け、私の寝床に潜り込むと、私の頭を撫でながら、擦りきれそうな声で唄っていた「遠くへ行きたい」 途中まで唄って、必ず声を詰まらせて、背中を向けて泣いていた。母までもが、どこかに行ってしまう気がして、不安で仕方なかった。
< 67 / 75 >

この作品をシェア

pagetop