片思い?両思い?



あれから特になにもなくて、日向先輩と彼女さんは相変わらず喧嘩ばかりしていると隆平さんが呆れて言っていた。

「あんなに喧嘩しててさ、なんで日向は別れようとか思わないのかが不思議」

朝の3人のミーティング。

毎朝の日課になっていた。

ここにくると日向先輩のことが聞けるから、どうしても来ちゃうんだよね・・・。

理沙に「迷惑じゃない?」って聞いたら「ぜんぜん」とあっけらかんと言っていた。

そんなところも彼女の魅力のひとつ。

だから、いつも理沙の彼氏のことには詳しくなっちゃうんだよね・・・。

私のことを決して邪魔扱いにはしないんだ。

・・・こっちが気を使っちゃうくらいなんだもん。

「仕方ないですよ・・・」

困ったように笑う私に

「茜ちゃん・・・ちょっと押してみなよ」

毎日のように言われる一言。

「・・・できません」

そしていつも決まった返事を返す。

「頑固だなあ・・・」

「だって茜だもん」

理沙も毎日このやり取りを聞いている。


「おはよ・・・」

後ろのほうで声がする・・・。

私たちが振り向くと

「日向、おはよ」

「「おはようございます」」

今まで以上に元気のない日向先輩。

「はああ」

「おい、こら、いきなりため息つくな」

「・・・放課後どこか行こうぜ」

珍しく日向先輩から誘う。

「いいけど・・・そんな状態で楽しめるのか?」

「こんな状態だから行きたいんだよ・・・」

私は笑顔で

「どこか行きたい所あるんですか?」

聞いてみた。

「・・・いや、特にはないけど」

「じゃあ・・海に行きませんか?」

「「「海?」」」

「はい!・・・バスで行けば10分くらいですかね?まだ泳げないとは思いますけど」

「海か・・・いいね」

隆平さんは賛成してくれた。

「茜にしてはいい提案じゃないの?」

理沙がニヤリと笑う。

「日向先輩・・・どうですか?」

私の問いかけに

「いいよ」

落ち込んでいながらも笑ってくれたので、嬉しかった。


と、言うことで、放課後皆で海に行くことになった。



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