片思い?両思い?


突然

「あのさ、茜ちゃんは好きな人とかいないの?」

と、言われてしまい、私は慌ててしまって

「え・・・好きな人だすか?」

噛んでしまった。

「ププッ・・茜ちゃんて慌てると噛むよね」

「あ・・・はい。そのせいで中学のときは、かみこって呼ばれてました」

「・・・ふふ」

笑わないで欲しい・・・一生懸命話してるのにぃ~。

「それで?好きな人いないの?」

「えっと・・・」

「うん?」

いや、いるんですけどね・・・隣に。

口が裂けても言えませんけど・・・。

「いるにはいるんですけど・・・手の届かない人なので・・・」

「?・・・あ~、アイドルとかじゃなくてね」

いえ、そんなんじゃなくて・・・。

「その人は彼女さんがいるんです」

私の一言に

「あ・・・そうなんだ」

なるほど・・・という顔をする。

「はい、片思いなんです」

「言わないの?その人に」

「え?・・・はい。言っても迷惑になるだけなので・・・」

少し考えてるみたいだったけど

「もったいねぇ」

と呟いた。

「え?」

「いや、茜ちゃんだったら、うまく付き合っていけるのになーって。もったいないなって思ってさ」

「そんな事ないですよ。我侭だし・・・」

「・・・どこが?」

「え?」

「俺には全然我侭には見えないけど」

「そうですか?」

「うん・・・俺、最高に我侭な奴と付き合ってるからさ」

そう言って苦笑いをする。

私は胸が少し痛んだ。

そんな我侭言っても好きでいてもらえる彼女さんが羨ましかった。

「我侭言っても聞いてもらえるって思ってるから、甘えてるんですよきっと」

「・・・そうか・・なるほどね・・・」

納得した様子の日向先輩は

「やっぱ、来て良かったな」

と、今日1番の笑顔を見せてくれた。


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