とりかえっこしようよ
不安〜同僚編・side光〜


 家に着いたころ、いっくんからメールが届いた。



「逢えて嬉しかった。

また、一緒に出かけよう。

ハリーによろしく。

おやすみ」


 
 こんな短いメールだけでも、ドキドキする。


 さっきの言葉の意味を考えて、また赤面した。


 結局、ほとんど眠れないまま、朝がきてしまった。





 役所へ向かう車の中で、助手席を見てまた思い出した。


 私、今日、仕事にならないかも……。




 午前中の仕事をなんとか終えて、お昼休みになった。


 珠世ちゃんと一緒に、私の車でファストフードへ。


 内緒にしたい話は、役所の中や近くの食堂では無理だから。


 ドライブスルーでハンバーガーを注文して、そのまま駐車場で食べながらおしゃべり。




「おお!! 光ちゃん、やっと両思いになれたんだ!! おめでとう〜〜〜」


「あ、ありがとう……。」


「でもさ、光ちゃんが一途なのは知ってるけど、森川さんも偉いね。普通、音信不通になったら諦めるでしょ?」


「うん。でも、大学時代に私の同級生だった女の子と話す機会があって、私がここに勤めてることを知ったんだって」


「ふ〜ん。その子、北大?」


「え?どうだろう? そこまで詳しくは聞いてないけど、北大に行ったうちのクラスの女子って1人しかいないんだよね」


「そっか、じゃあ、その子に聞いたのかもね」



 それから、いかにして先輩に内緒で付き合うか、なんてことをレクチャーされた。


 珠世ちゃん、中学校から女子校だから、ホントそのあたりは機知に富むっていうか……。



 
 
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