とりかえっこしようよ
「……あのさ。
これ以上すると、もう止められなくなりそうだから。
名残惜しいけど、今日はおしまい」
いっくんが、私からそっと離れた。
今までくっついていたのに急に隙間が出来て、寒い。
寒い、というか、きっと寂しいんだと思う。
もっとくっつきたいと思う私って、変なのかな?
いっくんのシャツをぎゅっと握ったら、手を解かれてしまった。
……どうして?
いっくんの顔を見上げたら。
「ダメだよ、ひかりちゃん。
あんまり可愛いことされたら、俺の理性が持たなくなるから。
このまま続けたいけど、今日は何も準備していないんだ」
「準備?」
「そう。
……今すぐ、俺と君の子どもが欲しいなら別だけど」
そ、そういうこと、なの?
一気に顔が沸騰した。
「タクシー呼ぶから、今日はもう帰ったほうがいいよ。
でも、明日もし暇なら、荷物の片づけを手伝って欲しいんだけど」
「うん、いいよ」
「荷物の片付けだけでは済まなくなるかも知れないけどね」
意味ありげに笑ったいっくんを見て、恋愛超初心者の私もどきんとした。