とりかえっこしようよ
「念のために聞いておくけど、課長って確か結婚してるよね?」
「……知ってたんだ、やっぱり」
「うん。確か可愛いお弁当持ってきてたから、きっと奥さんの手作りだよなって」
知っていて、あの態度をとっさに取れるんだから、いっくんはやっぱりすごい。
だって、あの場にいた残り三人、誰一人口を開けなかったもん。
「私、驚いてとにかくその場を離れようと思ったんだけど、気付かれちゃったでしょ?
まさか、須藤さんと課長がそんなことになっているなんて……」
……でも、よく考えるとこれでつじつまが合うのかも。
「ひかりちゃんが一番苦手な女の先輩って、あの人だよね、きっと」
「……うん。わかる?」
「昨日の歓迎会で君がつぶれてた時、あの人は心配してない様子でそのまま飲んでたから。
でも、俺がひかりちゃんを送っていくって言ったときだけ、やたらと反応してたんだ。
何で家を知ってるのかって。
だから、ああ、この人はきっと君のことをあまり良く思っていないんだろうなって」
そういえば!
昨日はいっくんと一緒に一次会で抜けてしまった。
みんなにばれちゃった、かな?
「それで、須藤先輩には何で家を知ってるのか言っちゃったの?」
「とりあえず、幼馴染で昔よく一緒に遊んだからって答えておいたよ。
でも、さっき会ってどうせバレたし、見せ付けてやろうと思って手まで繋いだんだけどさ」
それで急に手を繋いだんだ……嬉しかったけど。