とりかえっこしようよ
それぞれの道~高校生編・side光~
 受験が終わって、卒業式も終わって。


 私は高校生になった。


 地元の進学校で、落ち着いた校風が私に合っている。


 カズくんには、やっぱり友達以上の感情は持てないって伝えた。


 私より、きっとカズくんにお似合いの明るくて可愛い女の子がいるよって言ったら、またいつものように頭をくしゃくしゃにされた。


「光より可愛い子、そうはいないぞ。俺、メンクイだから。」


 そんなお世辞、言わなくてもいいのにね。


 やっぱり、優しいんだね。


「樹と、ずっと手紙のやりとりしてたんだってな。俺、文章書くのとかめんどくさいから、それだけでも樹を尊敬するわ」


「カズくんはいっくんとずっと連絡取り合ってたの?」


「まあな。お袋同士がよく長電話してるんだ。そのついでに話すこともある程度」


 最後の手紙で知らされるまで、そんなことちっとも知らなかった。


 

「光、高校行ったら気をつけろよ。俺、裏でさんざんお前の害虫駆除やってたんだぞ。悪い虫に狙われないように、十分用心しとけ」


 ま〜た、そんな冗談を。カズくんは面倒見のいいお兄ちゃんみたい。


 私が笑ったら、カズくんはまた真剣な顔をして、聞いてきた。


「樹のこと、どう思う?」


 ……今度は即答できなかった。


 今までのカズくんの気持ちを考えたら、何て言っていいのかわからない。


 それに、もういっくんは私との文通を終わりにしてしまった。


「ふ〜ん、やっぱり、樹のこと好きなんだな。伊達に8年も文通続けてないって事か」





 遠距離恋愛、頑張れよ。




 そう呟いて、カズくんは「友達のハグな」って、私をぎゅっと包み込んだ。







< 46 / 200 >

この作品をシェア

pagetop