桔梗の場合。
「そっか。大変だな。」

「………うん。でもやっぱりこの仕事好きだから。」

そう言うとお兄ちゃんはにっこり微笑んでくれた。

「そっか。じゃあそんな桔梗にはアイス以外も買ってあげようかな。」

「ほんとっ!?」

「あははっ。目ぇキラキラさせすぎっ。」

うぅ。

あたしってば。

これじゃただの食い意地張ってる子みたいじゃん。

まぁ、実際そうなんだけどね。

だって嬉しいんだもん。

何にしようかなー。

なんて思っていると、お兄ちゃんはあたしの頭をグジャグジャと撫でた。

「昔から『きっちゃん』は食べ物で釣れるもんなー?」

「『きっちゃん』って呼ばないでよーっ。
大体それいつの話よ。」

お兄ちゃんがあたしを『きっちゃん』って呼ぶのは大体いつもあたしを子供扱いするとき。

確かにあたしはお兄ちゃんから見たらまだまだ子供かもしれない。

だけどもう昔のあたしじゃないのに。

全然わかってくれないんだもん。

はーあ。
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