桔梗の場合。
第三章

CDデビュー。

「はーい、OKです!
練習は今日で終わりです。」

「はぁ、はぁ、はぁ。
ありがとう、ございました。」

つ、疲れたー。

CDデビューが決まってから3ヵ月が経った。

仕事としての歌のレッスンは週一だった。

「桔梗ちゃん、すごく上手くなったね。」

「本当ですかっ!?
ありがとうございます!」

「いやー、最初は本当どうなるかと思ったけどねー。」

グサッ

「あ、あはは。」

自分で言えるほど、最初のあたしの歌はひどかった。

音程が定まらず、常に怒られていた。

だけど毎日お兄ちゃんに特訓してもらったおかげで、段々と聞けるものになっていったんだ。

「桔梗ちゃん、レッスンごとに上手くなっていくからびっくりしちゃった。
今じゃ本当の歌手みたい。
どこで練習してたの?」

「えっと、家で…。
従兄弟に教わってたんです。」

「え?従兄弟に?」

「あ、だめ…でした?」

「いいえ、是非お会いしてみたいわ。
それにダメな講師だったら、早くに注意してあるわ。
従兄弟の方に感謝しなさいね?」

「はい!」
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