桔梗の場合。
嬉しかった。

そんな風にお兄ちゃんを評価してくれるのが。

毎日違うことでドキドキする。

叶わないけど、恋してるって感じるんだ。

「桔梗ちゃん。
ちょうど1週間後に本番取るって。
ちゃんと喉、気をつけるのよ?」

「はい!!」

ブロロロロロ

車での移動中、さっきの言葉が反芻していた。

嬉しくて、でも少し切ないような、何とも言えない気持ちだった。

――――

「ただいまー。」

「お帰り。」

「あはっ。ただいま!
あのさぁ、お兄ちゃん。」

「ん、何?」

言っても、大丈夫だよね?

「今日、褒められちゃった。
『上手くなったね。』って。
あたし、すっごい嬉しかったんだぁ。」

ぽん。

「良かったな。」

「ん!これもお兄ちゃんのおかげだよ。」
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