優魂者

居た少女



それから約一時間後、午前六時半前。新山無類は自室から出てきた。大分早い時間に起きているが彼は朝に弱い。此処まで起きるのに30分は掛かった。彼は眠い眼を擦りながら居間に向かう。
ベーコンと卵を焼く匂いがする。どうやら東風谷薫が来て飯を作っているらしい。朝が弱く、彼女の事を好いている彼にとってはこの上なく嬉しい事だ。勿論毎日来ているわけではない、彼女の都合が良いときだけ来ている。今日はその都合がいい日らしく、彼はその日は運が良いと考えている。そして居間に着いた。

「よう、遅かったな」

何故か本庄村正が居た。その瞬間無類の眠気は吹っ飛んだ

「…なんで居るんだよお前…」

怪訝な顔をして、そして睨み付ける

「言ってなかったっけな?私は此処に住み着く事にした」
「帰れ」
「嫌じゃボケェ」

無類と村正、二人は睨み合った間々硬直、沈黙、それは幾星霜も続くと思われそうだったが

「あ、無類君起きたんだ。ご飯出来たよ?」
「おう」
「うむ」

その沈黙は一人の少女によって簡単に打ち破られた。
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