君に染まる(後編)





先輩に連れてこられたのはホテルの最上階の一部屋だった。

入り口にスイートルームって書いてあった気がしたけど…。


一歩部屋に入り豪華な作りに圧倒され立ち尽くす私に先輩はクスッと笑うだけで何も言わなかった。


イブの時もすごい部屋だったけど更にグレードアップしている。



「未央、なんか食べるか?」

おそらくルームサービスのメニュー表をひらひらとさせながら先輩はネクタイを緩めている。


「美紅から何も食べてないだろうって聞いた。腹減ってるだろ」

「あ…」


確かにタイミング逃して何も食べてない。


「大丈夫です。帰ってから何か食べますから」


メニュー表をひらひらさせるのをピタッと止めスタスタと私の前まで歩いてくるとグッと私の顔を覗き込む。

「こんな広い部屋に今夜俺を1人にさせる気か?」


拗ねた顔でそう言われようやく状況を理解した。

そんな私の様子に先輩も私の考えを察したようで眉間に皺を寄せた。


「いい加減慣れろよ。俺の彼女なんだから」


けどすぐに笑みを浮かべ、何食べる?とメニュー表を開いた。

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