君に染まる(後編)
そう言って、
もう1人の男の人が顔をひきつらせた。
「獅堂創吾か…
なんでお前みたいな奴が
こんなとこでナンパしてんだよ。
つーか、人の獲物に手ぇ出すなっての」
「人の獲物ねぇ…
先に手ぇ出したのはどっちだよ」
「あ?どういう意味…」
そう言いかけた男の人は
ハッとしてあたしに視線を向けた。
「お前、まさかこいつの…?」
そう聞かれ、思わず視線をそらした。
すると、
男の人は舌打ちをして手首を離し、
そのままもう1人の男の人と
その場から離れていった。
た…助かった…。
掴まれていた手首をさすりながら
ホッと息を吐いた瞬間、
「大丈夫か、未央」
背後にいた先輩が
あたしの正面に立ち手首に触れた。
「強く掴まれたわけじゃねぇんだな…」
急に触れられ驚くあたしにかまわず
手首をさすると、
そのままあたしの顔を覗き込んでくる。
逃げてきたこともあり目をそらすと、
ため息交じりに聞いてきた。
「…なんで逃げた?」