出世魚
倉庫のドアを開けると山積みの
段ボール達が出迎えてくれた。

今日中に終わるかな・・心配。

気合いを入れてバーコードを
スキャンする。

早く終わらせて
久江さんに逢いたい。

・・逢いたいだって。
何言ってんだろ自分。

一人勝手に顔を赤らめる。

「お疲れー。」

一番聞きたい人の声が聞こえた。

「お疲れ様です。」

でも、そんな気さらさら無い
感じで挨拶をする。

「てか今日の入荷、多くない?」

「そんな気がします。
先週はコレの半分でしたもん。」

作業の手を止めることなく、
でも彼の方を見て
困った顔をしてみた。

「俺も手伝うよ。」

「え、大丈夫ですよ。」

「今日あんま混んでないし、
二人でやれば早く終わるしさ。」


そういって久江さんは壁面に
掛けてある端末を取り、
バーコードをスキャンし始めた。

「スイマセン・・。」

と言いつつ、
心でガッツポーズ。
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