出世魚
「おわっっ!!!」

お互い作業に夢中になり過ぎた。

しゃがんでいる私に気付かず
久江さんがつまずいてきた。

幸い 私の肩に手をかけ
転ばずに済んだけど・・・。

久江さんの顔が目の前にある。

「・・・。」

「ゴメン、蹴った?」

「ぃゃ、大丈夫デス。」


やっぱりこの人の事・・・好きだ。

何でこのタイミングで
確信したかよく分からないけど

そう思った。


ちょっと照れて顔が
赤くなっている久江さん。

私はその100倍以上赤いと思う。

「先に出来た分だけ
プリントアウトしとくわ。」

そういって久江さんは
足早に倉庫を後にした。
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