出世魚
「でも、昨日言ったことはウソじゃないよ。
もちろん、俺には奥さん子供もいて
栗原さんとどうこうってことは出来ないけど
栗原さんが可愛くて、独身だったら告白してたって
気持ちはホントに思ったことだから。
…って俺、告白してるみたいになってるね…。」
「いや、あの、私こそ失礼な事言ってすみません。」
「だから栗原さんとどうなるって訳じゃないんだけど、
何か気まずい感じは嫌だなと思って。
今ままで通り、接してもらえると助かります…。」
「も、もちろん、なんかすいません。
気使ってもらっちゃって。」
「いや、いいんだ。俺が悪いんだし。
ごめんね、仕事の邪魔して。」
久江さんはホッとしたような顔で事務所を出て行った。
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