約束‐ヤクソク‐

「うぅ…やっぱり寒い」




(手袋置いてきたのは失敗だったかも)




 今更ながら後悔する。




「ってか、水奈おそーい!」




 と、白い雪が降る灰色の空に向け叫んだ時……




「何してんの?」




(水奈・・・の声じゃない!? 低い)





「こんなとこでつっ立ってたら風邪引くよ?」




「あ、その。友達を待っていて」




 そう言うと、そのヒトは私を一瞥して




「じゃー、なんで何も着けてないの?」




 それが防寒具のことだと悟るのに、わずかに時間を要した。




「クラスメイトに貸しちゃいました」




 苦笑しながらそう言った。







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