ねくすと★DOLL
「で、ここは何の部活なの?」
コータは話を本題に戻した。
「あっ! それ言ってなかったね」
そう言うとタマミは、カバンからゴソゴソと何かを取り出した。
「ジャーン!! これっ!!」
タマミが出したのは、マンガの原稿用紙だった。
「……マンガ?」
「そう! あたし達は、いの高マン研なの!」
「……いの高、何?」
「県立井ヶ原(いのがはら)高校・マンガ研究部! ま、マンガを描くサークルって所ね」
タマミの目は、キラキラしていた。明らかにテンションが上がり始めている。
「そうなんだ」
「ね、ね? コータくんは、マンガに興味がある?」
「興味はあるけど……。描いた事はないなぁ」
「じゃあ、一緒に書こうよっ! ねっ!!」
「描くって言ったって……。道具もないし……」
「そんなの、あたしが貸してあげるからさぁ。ねぇ、描こうよ!!」
タマミは、コータの制服の袖(そで)を、グイ、と引っ張った。
「うーん……。そうだなぁ……」