合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「な、なに? これ?」

「何って、見ての通りっすよ」

と、これまた白石がしらっと流す。

「もう、会員は百人を超えました。柏木さんの結婚って、すごいインパクトだったんですね。僕、感激です!」

と、森山が興奮を隠せず大声で叫んだ。

「まさきぃ~、この二人、どうにかしてぇ~」

「お前の部下だろ?」

「もと、です」

「柏木先輩、喜んでくれないんですか? 僕達頑張ったのに」

「仕事を頑張れ、仕事を!」

「あっ、それはもう、十分頑張ってますから」

「はぁ?」

「嗚呼、確かにその二人は、開発課のトップツーだ」

「実績ないと、発言力もありませんからね」

白石が急に真面目な顔であたしに向き直った。

「だから、裕子さんは、安心して元気な赤ちゃんを産んでください!」

あたしは、その力強い言葉に、大きな安心を貰ったような気がした。

ありがとう、白石、森山……

何がどうなるのか、全くもって、今のあたしには想像できないけど、なんか安心して会社に戻ってこれる、そんな気がしたよ。
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