合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
『お前は背が高いから、パンツスーツの方が似合うな』

そう言ったのはあいつだった。

『仕事で胸の開いた服着る奴があるか!俺が目のやり場に困るだろ』

そう言ったのもあいつだった。

それを貫いているのも、もしかしてあいつのため?

いやいや、違うでしょ。

違うと思いたい。

苦しくなるから……

あたしは、ザップン……と湯船に頭を沈めた。

涙はもう出ない筈なのに……

バスローブを身に纏い、ビールでも飲もうと洗面を出た。

と、『ピン、ポン♪』と来客を知らせるチャイムの音。

ったく、宅配便は宅配ボックスだって。

不機嫌百二十パーセントで通話ボタンを押した。

「はい?」

「なんだよ、その不機嫌な声は? 俺だよ、俺」
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