合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「この間は悪かった。お前と縁りを戻すつもりもない癖に、なんか懐かしくなって、大人げなく絡んじまって……お前があんまり変わってないもんだから、つい……」

「わかってらっしゃるならいいんです。じゃ……」

「ちょっと、待てよ、切るなよ」

「何でしょう? まだ、何か?」

「悪かったと思ってる。お前の気持ちを無視して、一方的に別れて」

胸の奥が、キシキシと音を立てて痛み出す。

「もう、過去の話ですから。じゃ、切ります」

「ゆうこ……」

通話ボタンを押した後も、微かに聞こえた、あいつの声が耳に残る。

モテ期なんて、一生来なくていい。

あいつが側にいてくれたら、それだけで……

この期に及んで、まだそんな気持ちを捨てきれない自分を哀れんだ。

そして……

あたしは、流れる筈のない涙を、再び浴槽に沈めた。
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