合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
あたしはエントランスのインターフォンから六〇一を呼び出した。

暫く間が空いた後、「はい」とあいつの声が聞こえた。

「あたし、裕子」

「裕子? なんで?」

「白石が連れて来てくれたの。ねぇ、開けてよ」

「あ、あぁ……」

躊躇いがちに、ドアが開かれた。

あたしは、入口に停まる白石の車に向かって手を挙げた。

その合図を待っていたかのように、車はロータリーから動き出す。

あたしは、大きく一つ深呼吸をすると、エレベーターに乗り込んだ。
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