合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
次の日、会社では白石のそれからどうなった攻撃が待ち受けていた。

「で、あれからどうなったんですか?」

朝の十時から、打ち合わせと称して企画室の打ち合わせルームに陣取った白石が、こちらも樹と同じようにがっつり食いついて離れそうにない。

「どうなったって、話を聞いたよ」

「で?」

「それだけ」

「縒りを戻すとかは?」

「今はない」

「今はって?」

「将来はわからないけど、今はない」

「じゃ、僕はどうなるんですか?」

「君はあたしの後輩」

「それだけですか? 僕は期待しちゃいけませんか?」

「何を?」

「もう、裕子さん! そんな風に焦らすなら、無理やり犯しますよ!」

あたしは慌てて白石の口を押さえた。

何言ってんの? こいつ?

「もう止めてよ。あたしのことは諦めて。多分暫くは誰も愛せない」

「それって、まだ愛してるって、聞こえますけど」

「言葉じゃないの、気持ちなの。つべこべ言わないで、あたしの目の前から消えて。鬱陶しい」

あたしは、クルリと椅子の背を白石に向けた。

「同盟解散は時期尚早だな……」

白石はそう呟くと、企画室を後にした。

ったく、何言ってんだか……
< 72 / 215 >

この作品をシェア

pagetop