フェイクハント
 -------次のニュースです。深夜未明、某県○○町の河川敷で、男性の遺体が発見されました。持っていた所持品の免許書から、被害者は、大手企業の社長である桂田静夫さん二十六歳と判明し、顔には、ゲーム「フェイクハント」の仮面が着けられており、首を絞められ、殺害されていた模様です。同じく「フェイクハント」の仮面が着けられ、殺害されていた三件の事件と、同一犯である可能性が高いため、警察では引き続き捜査が行われているということです-------

 ガシャーン!!


「嘘でしょ? 静夫が?」


 早瀬海人の妻である早瀬涼は、ニュースを見ながら朝食を取っていたが、驚きのあまり思わず立ち上がり、手に持っていたコーヒーカップを床に落としてしまった。

 連続殺人事件が発生してから、夫の早瀬海人は捜査のため泊り込みが続き、涼は一人で食事を取ることが多くなっていたのだ。

 涼は大人になってからも、親交の深い友人が殺されたというニュースに愕然とした。

 しばらくして力が抜けたのか、ストンと椅子に腰を下ろした。涼は落としたコーヒーカップの破片を拾うこともせず、目を閉じ、中学時代を思い出し始めた。

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