フェイクハント
「じゃあチェスターは全部の犯行を認めなかったの? 少しでも罪を軽くするために否認しているのかしら。そうだとしたら余計許せないわ」


「篠田さんとも、取調べを続けてみるしかないなって話したところだよ」


「海人や警察も、もっと証拠となる物を見つけて、チェスターが全ての犯行を早く認めるようにして欲しいもんだわ」


 海人は自宅に帰ると、涼にチェスターの供述を簡単に説明したが、涼は興奮して息を荒げていた。


「分ってるよ。俺だって頑張って捜査してるんだ」


「ごめんなさい。海人に当たる云い方をしてしまって」


 肩を落とし、うなだれた海人に、涼は申し訳なさそうな顔をして謝った。

 しばしの沈黙を破るように、涼は先日見た典子の姿を海人に話した。

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