王国ファンタジア【氷炎の民】完結編
旅立ち
白い雲が漂う青い空の下には、緑の畑の間を縫うように整備された街道。
王都より北へと向かうそこに、二人と一頭の姿があった。
銀の煌く長い髪の青年。
ふわふわの白銀の髪の少年。
それに銀の雪狼。
氷炎の民の一行であった。
「ちょっと、サレンス様。どこ行くんですか? そっちじゃないです」
意外な結末を迎えたドラゴン討伐であったが、何とか無事に終わり、王との謁見を済まし、褒章を受け取った彼らはそのまま故郷への帰途に着いた。
そのはずだった。
しかし、サレンスはともするとふらふらと寄り道をしようとする。レジィの気苦労は耐えなかった。
「わかっているよ、レジィ」
「わかっているって、じゃ、どういうおつもりなんですか?」
しれっと答えるサレンスに噛み付くレジィ。
ドラゴン討伐と言う大仕事を成し遂げても、手のかかる主人によく気がつく従者というこの二人の関係は変わらなかった。
「あのな、レジィ。せっかく北のど田舎から出てきたんだぞ。少しくらい羽根を伸ばしても罰は当たらないぞ」
「もうっ。それならすぐ帰ることにしなければよかったじゃないですか。王様だって引き止めてくれてたし、アウルさんたちももうしばらく王都に滞在するって言ってたし、女の人にもけっこうもててた、あっ、サハナお姉さんとだっていい雰囲気だったでしょう」
レジィから見れば、森の民の少女サハナは顔だけはいいサレンスにたぶらかされていたようだった。
しかし、サレンスは意外なことを告げる。
「うん、確かに王都の女の子たちは綺麗で可愛かったし、サハナはその中でも群を抜いていい子だった。でもあの子は無理だよ。心に決めた人がいたからね」
「え、そうなんですか」
「自分でもまだ気づいていないようだったが、時間の問題だろう。残念だけどね。大体、格式ばった王宮は私の肌には合わないよ。それに王様が引き止めたがったのは、何も私だけでもなかったようだったからな」
「はあ? どういう意味です、それ?」
サレンスの何やらの含みのある言葉を理解できず、レジィは首を傾げる。
王都より北へと向かうそこに、二人と一頭の姿があった。
銀の煌く長い髪の青年。
ふわふわの白銀の髪の少年。
それに銀の雪狼。
氷炎の民の一行であった。
「ちょっと、サレンス様。どこ行くんですか? そっちじゃないです」
意外な結末を迎えたドラゴン討伐であったが、何とか無事に終わり、王との謁見を済まし、褒章を受け取った彼らはそのまま故郷への帰途に着いた。
そのはずだった。
しかし、サレンスはともするとふらふらと寄り道をしようとする。レジィの気苦労は耐えなかった。
「わかっているよ、レジィ」
「わかっているって、じゃ、どういうおつもりなんですか?」
しれっと答えるサレンスに噛み付くレジィ。
ドラゴン討伐と言う大仕事を成し遂げても、手のかかる主人によく気がつく従者というこの二人の関係は変わらなかった。
「あのな、レジィ。せっかく北のど田舎から出てきたんだぞ。少しくらい羽根を伸ばしても罰は当たらないぞ」
「もうっ。それならすぐ帰ることにしなければよかったじゃないですか。王様だって引き止めてくれてたし、アウルさんたちももうしばらく王都に滞在するって言ってたし、女の人にもけっこうもててた、あっ、サハナお姉さんとだっていい雰囲気だったでしょう」
レジィから見れば、森の民の少女サハナは顔だけはいいサレンスにたぶらかされていたようだった。
しかし、サレンスは意外なことを告げる。
「うん、確かに王都の女の子たちは綺麗で可愛かったし、サハナはその中でも群を抜いていい子だった。でもあの子は無理だよ。心に決めた人がいたからね」
「え、そうなんですか」
「自分でもまだ気づいていないようだったが、時間の問題だろう。残念だけどね。大体、格式ばった王宮は私の肌には合わないよ。それに王様が引き止めたがったのは、何も私だけでもなかったようだったからな」
「はあ? どういう意味です、それ?」
サレンスの何やらの含みのある言葉を理解できず、レジィは首を傾げる。