腐女子とナル男の奮闘記。

4.王子の憂鬱



「凌~!もうっ!昨日は急に帰っちゃうんだもん!美貴寂しかったんだから!」

朝っぱらから耳障りな美貴の声をシャットアウトするため、音楽プレーヤーを耳に付ける。


「あぁ、すごくよかった」

「そんなこと何も聞いてないから!聞こえてないのバレバレなんだからねっ!」

ぷりぷりしながら歩いていく美貴。



流石に謝ろうと、手を伸ばしたが急にその手を掴まれた。


「おはようお嬢!今日も綺麗だよ。昨日は学校に来てなかったよな?俺はあいつ等のサボりのお誘いを断ってまで、学校に行ったんだぜ?でもいないしよ~。
まぁお嬢も俺に会えなくて寂しかったろ?分かるぜ……その気持ち。なんてったって俺も同じ気持ちでいたんだからな!会いたいのに、会いたくてしょうがないのに会えないこの気持ち。辛いよな……。

……つーかもしかして風邪だったりしたのか?!くそっ!メアド知ってればお嬢の状況をいち早く把握して介抱できたのに!俺の愛で包み込めたのに!!ごめんな?寂しかっ──ジャカジャカジャカ♪



最大音量まであげた。


急に現れて愛を囁くな。世界中の詩人に謝れ。
お前は一生風邪引いてあたしの目の前に二度と現れんな。包むな。最終的に謝んな。
つーか恋人同士みたいな会話すんな。誤解を招く。




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