卒業アルバム
書くことがもう決まっていたのか
渡した後柄本はすぐに俺に何か書いて返してきた。
「今、ここで読んでくれる?」
顔が少し赤くなってるのは
俺の気のせいか?
「早く、早く!」
せかす柄本に
「分かったよ」
借りたペンを置いて柄本が書いた場所を探す。
そこに書かれたのは・・
「えもと?」
気が付くと柄本は居なくなっていて
勢いよく席を立って追いかける。
「柄本!!!」
廊下に出て全力で走ってる柄本に向かって大声で叫んだ。
「お前、東京行くんだよな!」
もう一度叫ぶと、立ち止まりさえしたものの
振り返らないまま小さく頷いた。
卒業したらアイツは東京、俺は地元に残る。
離れてもうまくいくかなんて分からない。
絶対に大丈夫なんて言葉言いたくないけど。
別れの言葉達の中に紛れた
「ずっと大好きだよ」を俺は
世界一大事にしたい。
「遠距離、頑張ろうな」
この言葉で、柄本はやっと振り返った。