運命の恋~先生を抱きしめたい~
「ママ、私は大丈夫だよ。
ママには夢があるんでしょ?
飛び出していいよ。
ママの人生だもん。」




「何言ってんだか。」

母は笑った。



こんなに屈託のない笑いをする母を
久しぶりに見た気がした。



「私なら大丈夫。
お兄ちゃんもなんかあったら
支えてくれるし
今までも一人のようなもんだったしね。
ママが立ち直るなら
ママだってパパに負けない人生を
歩かなくちゃ……」




母の目がうるんできた。



「紅ったら・・・・
私のこと考えてくれてるのね。
嬉しいわ。
だめな母親なのに・・・・・
私は女に生まれてきたことを
後悔してきたけど
パパに出会って
家庭を持って満ち足りているのに
医療への情熱には
貪欲になっていく・・・・・。
だからパパに捨てられたのね
笑っちゃうでしょ?
医者としては優秀だけど
女じゃなかったんだって・・・・・
なんだかガッカリしちゃったわ。」




「かわいそうママ・・・・」



「娘に同情されて情けない。」




「でも医者の
ママは尊敬してる。」



私は女として
娘として 傷ついた
母の背中を押してやりたい



そう思った。
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