キミとぼくとのあい言葉。【完】
「待って…っ」
帰ろうとした男を必死に追いかけた。
『今日のことは忘れて「桜庭冬樹!」
男の言葉を遮ってフユの名前を呼ぶ。
しばらくの沈黙のあと、男はサングラスを外してあたしに歩みよってきた。
『やっと気づいたのかよ…。バーカ』
薄笑いを浮かべて、笑ったときにできるえくぼを見せながら…
男はあたしの頭をクシャっとした。
『気づくの遅すぎ…。忘れられたのかと思った』
「ほんとに…フユ?」
『ああ』
「なななな‥なんでフユがここに?」
「今帰ってきてんだよ」
フユが…、五年間待ちわびた人が
今あたしの目の前にい、る…。