キミとぼくとのあい言葉。【完】
だけど、何も教えてくれなかった。
おれは‥どうすればいい?
もういっそうのこと、留学先に帰るか。
アキが居ない以上…
日本に残る必要もなくなった。
腰を浮かせたと同時に、携帯が鳴った。
胸が少なからず踊っている。
『‥もしもし』
「坊ちゃんですか?」
聞き覚えのある声に、おれの希望は一瞬にして崩れ落ちた。オヤジの秘書、松下というやつからの電話だった。
『ああ』
「今‥どちらに?」
オヤジからの命令、か?
しばらく家に帰ってないおれを不審がっているのだろう。‥ディスプレイを確認してから電話に出たらよかったな…。