ドライヴ~飴色の写真~
 一瞬、ある人の名前を漢字で思い浮かべたところで、私の思考が止まった。


「あっ!」


 いや…でも…まさか…

 そんなはずはない!

 でも…暗号がそのとおりだとしたら…

 あの人だ。
 あの人しかいない。



 やばい、篠さんは絶対わからないだろう。
 なんてったって、仮免効果測定50点の人だ。

 私は、無我夢中で篠さんの携帯に電話をかけた。

 なんと、プルル音が鳴る前に出てくれた。

「篠さん!」

「なぎさん、良かった。もう今日は仕事が終わったのか?」

「篠さん、ごめんなさい! もう時間がないんです! あの暗号がわかりました! 犯人は…」



 その時、後頭部に強い衝撃を感じた。

 重い、重い、強烈な痛みがあっという間に私を支配した。

 私は、耐えきれずに意識を失ったようだった。
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