僕の唄君の声



「…ん゙っ?」


キスだと思ったが唇とはまた違う感触だと気付き、そっと目を開ければ、親指を私の唇に押し当てた玲のニヤリとした顔がどアップで映った。


「期待した?」


「…し、てない!」


「へェ…。じゃ、これは?」


「…は?」



これは?と聞かれて一瞬訳が分からなかったが、目の前のドアップの顔が少しずつ横にズレていくのを感じ、その動きを目だけで追っていけば、女よりも色気がありそうな流し目の玲とバチッと目が合った。


その直後に私の体を襲ったのは、私の弱点ともいえる場所からの刺激だった。



「…っ!?」


「…これは効いた?」



まあ正直、かなり効いてますよ。
私の弱点と言っても過言ではないしね。



「ぁ、う……!」


「何、耳弱ェの?」


そう、私は耳を触られたりするのが苦手だ。

余裕なくコクコクと首を上下に振れば、玲はガブリと耳に噛み付いた。



「…ひ、!」


でもそれは一瞬だった。

声をあげた瞬間に、玲の口から私の耳は離された。



_
< 66 / 133 >

この作品をシェア

pagetop