グレーな吐息~せぴあなタメ息③~

それから、悟がグラスをあおる。

それを見届けてから、類はグラスに口をつけた。

ついでに少し、味わってみる。

・・・美味しいのか、何なのか、よく、分からない。

悟はそれを飲み干すと、

類の手から、グラスを奪って、くいっとあおる。

類は、黙ってそれを見ていた。

「変わりに何かもらってきてあげるよ。

出演料が会費代わりだから、一杯飲んで、食べないとね」

「会費・・・」

「そう。お祝いだとどうしても高額になるから、

会費にしたんだって」

言って、消える。

類は、場慣れしなくて、怖くて、動けない。

その不安を知っているのか、悟はすぐに戻ってきた。

「何がいいか、訊くの忘れた」

と、オレンジジュースと琥珀の液体を満たしたグラスを手に持っている。

「オレンジジュースと、ウーロン茶

ソフトドリンクはこれしかないみたい」

両方を、類の前に置く。

「あと、これ、少しだけど」

お皿に、綺麗に盛られた、料理。

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