グレーな吐息~せぴあなタメ息③~



「武藤さんは大学の先輩なんだ。

奥さんも、同級生。オレも知ってる人」

出演者は、フロアの後ろの席に、いる。

待機しながら、披露宴を楽しんでいるのだ。

ステージの上では、やはり友達らしい司会者が、

マイクを握って話している。

堅苦しいことナシに、いきなり、お祝いの乾杯だ。

とか言っている。

「グラス持って、立って」

言われるまま、目の前の、浅いグラスを持って立つ。

中身は淡い、金色。

「乾杯したら、口だけつけて。

アルコールだから、類は、飲まないで」

そうなのか。

『乾杯』

司会が宣言すると、悟が類のグラスに、

自分のグラスを軽くぶつけた。

小さなテーブルなので、

ここには類と悟だけ。

悟は隣のテーブルにも接しているので、隣の人とも、

グラスをぶつけた。

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