姫密桜

引き返せない

私は、誰にも槇を
渡さない。

槇は、私だけのもの

ずっと、ずっと

槇だけが好きなの。

彼女よりも

ずっと、昔から

私は

槇だけを見てた。

「どうしたの、マキ?

 あら、サクラ
 あなた
 どこに行ってたの?」

玄関先で驚く母を見て
私と槇は顔を見合わせて
微笑んだ。

槇は、今

風邪薬を飲んで
眠っている。

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