姫密桜
槇は、眠っている・・・

熱い寝息を吐く唇に
そっと、指先で触れる。

この唇が・・・

私を好きだと

愛していると

言ってくれた。

槇の甘い視線

愛を囁く声を

思い出すと

嬉しさに、この胸が
ドキドキと騒ぐ・・・

その手を、今度は
額にあてた。

熱い額にかかる、寝汗で
湿っている髪を後ろへと
はらってあげた後

ベッドの傍に、膝を付き
眠る槇の胸元に頬を寄せ
起こさないように

小さな声で槇に告げる。

「マキ
 
 あなたが、好き」

走り出した、この恋は
誰にも止められない。


< 254 / 675 >

この作品をシェア

pagetop