姫密桜
着替える途中だった槇は
まさか、私が戻ってくるとは
思っていなかったようで
上半身裸の姿で驚いていた。

「びっくりさせんなよ」

私に背を向けて、シャツに
腕だけを通す槇。

そんな槇の、裸の体に
後ろから、私は抱きついて
あるお願いをする。

「サクラ、どうした?」

「マキ、お願い

 私から
 離れていかないで・・・」

折口さんが、どんなに

貴方に泣いて縋っても・・・

「どうか
 
 私だけの貴方でいて」
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