姫密桜
授業なんて受けてる場合
じゃない。

事実を知らなきゃ・・・

彼女からではなく、母から
ちゃんと聞く権利が私にはある

朝のHRの時間、担任の先生
は、今日はまだ来ない。

私は席を立ち、椅子を片付けて
鞄を手に、その場を離れる。

廊下を早足に歩く、私の肩に
触れる那智の手。

「サクラ、帰るのか?」

那智の戸惑った表情。

「お前・・・
 さっきのオリグチの話
 信じてるのか?」

「サクラ・・・」

和歌子の声と共に聞こえる声

「こらっ、お前達何をしてる
 
 早く、教室に戻りなさい」

「はい、行こう」
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